会社法は、監査役を置かないことができる株式会社を認めています。
旧有限会社は監査役を設置する必要がなかったので、旧有限会社と実態において差異がない有限会社型の株式会社においては、監査役を設置する必要がないと考えたからです。
しかし、取締役をチェックする機関が存在しないと、取締役が勝手なことをして株主に不利益を及ぼすかもしれません。
そこで、委員会設置会社(監査委員会など取締役で構成する委員会を設けている会社をいいます。)以外の会社では、①会計監査権限しか持たない監査役を設置する場合、または、②監査役を設置しない場合は、株主の監督是正権を拡大・強化して取締役が勝手なことをしないような体制にすることで調整を図りました。
また、取締役会を設置する会社においては、委員会設置会社でない限り、原則として監査役を設置しなければなりません。
しかし、公開会社でない会計参与(公認会計士や税理士の資格を持つ人がなることができます)設置会社は、例外的に監査役を設置しなくてもよいことになりました。
その理由は、株式譲渡制限会社である取締役会設置会社では、株主の監督是正権が拡大・強化されているため、公認会計士や税理士などである会計参与が取締役と共同して計算書類を作ることにより、一定レベルの計算書類の適正さを確保していれば、株主により取締役を監督することが十分可能であると考えたからです。